クレイジーピンクの育て方

世界の中心で、沼に落ちた

ジャニーズしか知らない私がある日突然ボイメン沼に飛び込んだ話〜後編 握手会(追記あり)〜

後編です。

 

↓前編はこちらから。
ジャニーズしか知らない私がある日突然ボイメン沼に飛び込んだ話〜前編 きっかけ〜 - クレイジーピンクの育て方

 

関西のリリイベは兵庫と大阪で開催されるが、大阪は本田くん欠席のため、兵庫に行くことにした。軽い気持ちで参戦したのはいいのだが、右も左も何も分からない。何をどうすればいいか分からない。何が行われるかも分からない。そう、ジャニーズには「リリイベ」などほとんど存在しないし、「握手会」なんてやったら大パニックになるからだ。ジャニーズの担当グループA.B.C-Zも「ハイタッチ会」を行ったことはある。が、2月の真冬に雨の降る中で5時間並んで、ようやく順番が来たら流れるように終わった。自担と一言会話しただけ。一瞬だった。

その経験しかないので、握手会って何を喋ればいいの?アイドルに対して何を言うの?と、会場に着いた瞬間からパニックになった。人生のほとんどをジャニヲタとして歩んできたが、握手会に至っては全くの素人である。会場でうろちょろしていると、お昼の部の握手会が始まり、推しが目線の先に現れた。あまりの急すぎる展開に「ちょっと待って!」と、そこから逃げてしまった。

握手とは違う場所に列が出来ていたので、スタッフさんに聞いてみると夜の部の物販列だという。CD1枚買えば、握手券が1枚付いてくる。その列だった。とりあえずここに並んでおけば間違いないだろうと、炎天下のクソ暑い中、日傘も帽子もなく滝汗を流しながら待っていた。すると後ろの子が、「あ、勇翔だ」と言った。横を向くとメンバーの勇翔が握手会を終えて帰って行く。次につっちー(土田拓海くん)が歩いていた。

「え、待って。こんなに普通に歩いてるの?それなのに誰も騒がないの?ジャニーズだと暴動起こるよ?」とマナーの良さに震え上がっていた。次々とメンバーが通って行き、これは本田くんも通るんじゃね?と察すると心拍数がどんどん上がる。

 

そこへ本田くんがふらっと現れた。暑さに耐える私達を見て、「えらいことだで…」と呟いた。歩きながら「可哀想だけどどうしてあげることもできんわ」と心配しながら去って行った。

 

ば、ば、ば、爆イケ!!!!!

 

本田くんは想像以上に本田くんだった(日本語崩壊)物販列はただの通り道なので、誰も手を振らない。そこの歩き方は十人十色。ファンに話しかけながら歩く人や、あえて見ないようにする人。「タムタムの列に1回は並ぶんだよ?いい?並んでね!」と宣伝しながら歩くタムタム(田村侑久くん)にはびっくりしたが、ファンを純粋に心配する本田くんが見れたことに「神様ありがとう」と感謝するばかりだった。

 

☆追記部分☆

ミニライブが始まった。私は整番が良かったのでドセンの3列目。勇翔くんがジャジャーンとエアギターでステージに立った。何で勇翔くんだけ?と思っていたけど、そういうシステムになってんですね。そこからメンバー全員出てきた。この時までずっとスマホで動画を見ていたから、私のスマホから全員が飛び出してきた感じがした。みんなを見たいけど、残念ながら目は2つしかないのでとりあえず本田くんに焦点を絞る。

んあ…(本田くんが良く言う擬音)、なんじゃこりゃ?生で見る本田くんはスーパーハチャメチャミラクルウルトラド級に格好良いではないか!?開始1分で動悸が始まってしまい、救急車で運ばれる覚悟をした。

キラキラしてる。キラッキラ。眼力が強くて、殺傷能力高め。長めの前髪がこれがまた素晴らしくて、若干漏らしそうになったので歯を食いしばって何とか耐えた。あまりにも体に悪いぞ。

曲が2番に入り、本田くんの立ち位置が私の正面になった。んあ?んあ?位置的な問題で間違いなくこちらを見ている。私はまだ公式のペンライトを持っていないため、市販のものを振っていた。だからだろうか?本田くんが「んあ?」とこちらを見ていたような気がする(あくまでも、気がするだけ)自分が推しの視界に入ってると思うと、恥ずかしくて目を逸らしてしまった。直視出来ない。見たら死ぬ。握手会終わらずして死ぬわけには行かない。

 

2曲目のNAGOOOOOYA(←で合ってる?)でやっと全体を見れた。わぁ、めっちゃ楽しそう。それぞれが目を合わせてふざけたり、元の振り付けは知らないけれど凄く自由に踊っていた。わぁ、めっちゃ楽しそう(2回目)なんか、私まで楽しくなってきた。体の芯から「イエーーーーーイ!!」となってしまった。途中で身長順に1列に並ぶんだけど、一番前の本田くんが可愛くて可愛くて、他推しさんからも悲鳴が飛んでいた。最前列で騒ぐ他推しさんに「可愛い?可愛い?」と口パクで聞いていた。かわゆ。

3曲目の帆を上げろ!では私のボルテージもMAXになり、無敵状態であった。最後の最後、本田くんが歌詞を間違えて「しまった〜」と一人で呟いていた。ライブならではだな〜と思った。このミニライブが楽しすぎて、私はボイメン沼の目の前まで進んだ。入る準備は出来ている。

 

ミニライブが終わり、少し休憩を挟んでから握手会が始まった。緊張で吐きそうになり、徐々に顔色が悪くなる私。何を言うか決めていない。前の人達の様子を見ながら、流れを把握して行く。緊張がピークに達して、もう何もかもが良く分からない。当たって砕けるしかないな…。そう思った。

 

自分の番が来た、来てしまった。スマホの中でしか会ったことない本田くんが、私の目の前に来てしまった。本人の前に立ってしまった。恐れ多くも手を握らせてもらう。吐きそう。今、この時間、この空間の本田くんは私の為に存在しているのだ。失神してしまいそうだった。私は身長が高く本田くんと同じ170cmなので、目線が全く一緒。本田くんが私を見ている。キラキラした眼差し。恥ずかしい、死んでしまいたいと思いながら、言葉を発した。

 

私「は、初めて来ました(か細い声)」

本「俺の列に初めて来たってこと?」

私「いや…ぼ、ボイメンに…」

本「あ、そうなん?あ〜俺らももっと関西来なきゃね。あんまり来れとらんからさ。もっと来んと…」

 

な、なんか凄い喋ってくれる!!どんどん喋ってくれる!途中から意識遠くなって何言ってるのか分からない。けどすっごい喋ってくれる!本田剛文が語ってる!無言のままガン見していたら、

 

本「どこ住んどるの?」

 

と質問された。本田くんに質問された。やばい、話を広げてくれている。アイドル自ら会話に展開をもたらしてくれている。本田くんに質問されている。やばすぎる。

 

私「あ、お、大阪で…す…」

本「あ〜大阪か!明日(大阪リリイベ)俺が居らんもんでね」

 

残念な気持ちを顔で表していたら、スタッフさんに背中トントンされて終わった。「またね」と言うと、手を振ってくれる本田くん。手を振り返す自分がすげーぶりっ子で、内心「きもっ」と思う。本田くんの前では乙女であった。これを書いてる今でも吐き気するくらいに緊張した。CDを2枚買ったので、あと1回握手出来る。2回目は「今日から本田くんを応援します」と言おうと思った。

 

私「これから…えっと、応援してもいいですか?」

本「もっちろん!(超ド級キラキラ笑顔)」

 

死にたい…。こんな顔されるなんて死にたい。いっそここで死んだら私の人生、最高のエンディングだな?ん?そんなこと思ってたら沈黙になっちゃった!何か喋らなくては!と咄嗟に出た言葉が「名古屋に行きたいです」というありきたりなフレーズだった。

 

本「じゃあ目標を立てよう!8月中に1回は来ること!(指で1を作る)」

 

勝手に目標を立てられてしまった。しかも来月じゃないか。行けるわけない、と思ったのに本田くんからの提案がすごく嬉しかった。即答で「はい!」と答えた。町おこしお兄さんの誘惑にまんまと乗っかってしまった。「待っとるでね〜」と手を振ってくれる本田くん。あぁ、今すぐ死んでしまいたい。まだボイメン垢を作っていなかったので、ジャニ垢で散々騒いだがジャニヲタさんからの反応は薄かった(そりゃそうだ)

 

2回の握手が終わり、晩御飯食べて帰る予定だった。しかし今ならCDを追加して握手券をゲット出来る。また会いたい、また喋りたい。名古屋に遠征するつもりなかったのに、あんなことを言ってしまったことが心残りだった。嘘付いちゃったから、納得出来なかった。あと1080円出せば、また夢を見れる。幸せをお金で買える。でもこれを買ってしまえば見境が無くなる気がする。終わりが見えなくなる。

迷っていたら本田くんが目の前をニコニコと手を振りながら帰って行った。その笑顔を見たら、「まぁ、1回くらい追加してもいいよね」と物販列にまた並んでしまった。罠にハマったうさぎはちょろい。

 

3回目、割と前に並んだ。本田くんの右がゆーちゃむ、左が賢ちゃんだった。ゆーちゃむが鏡開き(一番前の人)に「暑かったね」と話しかけ、賢ちゃんが「涼しくなってきたね〜!」とファン1人1人に声を掛けていた。ゆーちゃむと賢ちゃんで「ね〜!」と言い合いが始まったが、本田くんは参加しなかった。ゆーちゃむに強引に「ね〜!」と振られたが、苦笑いしてスルーした。賢ちゃんが「やらないの?」みたいな顔をしてたら、全力で「ね〜!」と言った。何これ、こんなん見れるの。私の順番が来たけど、正直もう話すことがなかった。

 

私「また関西に来てくださいね」

本「うん。あ!名古屋にもなるべく早く来てよ?」

 

ん???覚えてくれてる???

私が何回も並んでること分かってくれてる?確実にそうだとは言えないが、私はこういう時だけポジティブで単純なので幸せな勘違いをさせてもらうことにした。名古屋に行きたいと言ったことを覚えてくれてるんだな、と。

 

私「はい、行きます!」

本「なるはやで!なるはやでな!」

 

と手を振り、私の握手会は終わった。その場に居るとまた追加しそうだったので急いで帰った。摂取カロリーが高過ぎて消費することが出来ず、帰宅してからようやく余韻に浸った。

恥ずかしかった。乙女な自分がとても恥ずかしかった。あの場所で私は「女」だった。とにかく恥ずかしい。どこを切り取っても恥ずかしい。と、同時に本田くんと時間を共有出来たことが嬉しい。気が付いたら名古屋までの交通手段を検索していた。意外と安かったので、8月中には行けないけれど、本田くんメインのイベントがあれば軽率に行くであろう。

 

こうして生粋のジャニヲタはボイメン沼に落ちた。というか自ら志願して飛び込んだ。端折ってしまったがミニライブもすごく良くて、また来たいと思えるものだった。ジャニーズは野外でミニライブなんてやらないのでね。新鮮だったよ。ちなみに、3回目は何を喋ったのか記憶飛んでるし、握手が両手だったかどうかも覚えていない。両手だった気もする。私は両手で握ったから。話すのに夢中でそんなん覚えない。30秒、夢みたいな時間をありがとう。

 

「好きなアイドルと握手する」という概念が無かった私には、全てが斬新過ぎた。ジャニーズは大きな会場で遠くから見つめるものであり、話せたり触れたりするものではない。握手会終わりにファンを横目に帰って行くのもびっくりだった。もし私が名古屋に住んでいて、通い続けたら認知も夢じゃないのでは?と思えた。

2017年7月16日、私はボイメンファンになることにした。FCも入るし、イベントには行く。まだ始まったばかりなのでこれからどうなるか分からないが、ただただ楽しい日々だ。この幸せが続きますように、と願っている。